住宅を購入する際、一般的に長期間の住宅ローンを組むことが多く日本では35年ローンが一般的です。
しかし、ライフスタイルの変化や家族構成の変化、転勤などの事情により、ローンを完済する前に家を売却しなければならない場合もあります。
「35年ローンの途中で売る」という選択は、決して珍しいことではありませんが、いくつかの重要なポイントに注意する必要があります。
本記事では、35年ローンの途中で家を売却する際のプロセスや注意点、さらにメリットやデメリットを詳しく解説します。
35年ローンの途中で家を売却することは可能か？
まず、35年ローンという長いローンの途中で家を売却することは可能です。ただし売却時にはローン残高（残債）を一括返済する必要があります。
売却金額がローン残債を上回る場合、売却代金からローンを返済し差額を手元に残すことができます。
しかし、売却金額がローン残債を下回る場合は差額を補填しなければなりません。
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住宅ローンの返済中に家を売却する理由としては、転勤、家族構成の変化（子どもの独立や増加）、家計の見直し、さらには住宅の維持が困難になるなどが挙げられます。
こうした事情から、ローン完済前に売却を検討する方は多くいます。
ローン残債が売却価格を上回る場合の対策
住宅を売却する際、注意すべき最大のポイントは、売却価格とローン残債の関係です。
売却価格がローン残債を上回れば、手元に現金が残りますが、逆に売却価格が残債を下回る場合には、残ったローンを返済し続ける必要があります。このような状況を「オーバーローン」と呼びます。
オーバーローンが発生した場合の対策
オーバーローンが発生した場合、以下の対策が考えられます。
自己資金で不足分を補う
例えば、売却金額が2000万円、ローン残債が2500万円の場合、差額の500万円を自己資金で補填する必要があります。この方法が最もシンプルですが、まとまった資金が必要となるため、すぐには対応できない場合もあります。
金融機関と相談して残債を組み直す
金融機関と相談し、残っているローンの再構成を行うことも可能です。売却後の残債について、新たな返済計画を立てることで、引き続きローンを返済することができます。ただし、この場合も、新しいローンが組めるかどうかは、収入や信用情報などが審査の対象となります。
任意売却を検討する
住宅を売却する際、任意売却という選択肢もあります。任意売却とは、ローン返済が困難な場合に、金融機関の許可を得て市場価格よりも安く住宅を売却する方法です。オーバーローンの状況下でも、残債の一部を免除してもらえる可能性があるため、債務の圧縮が可能です。ただし、信用情報に影響が出るため、慎重な検討が必要です。
3. 家を売却するプロセス
次に、35年ローンの途中で家を売却する際の一般的なプロセスを確認しておきましょう。
売却物件の査定
まずは不動産業者に依頼して、売却予定の物件の査定を行います。物件の立地、築年数、間取り、周辺の相場などをもとに査定価格が決まります。ここでの査定結果を基に、売却価格を設定します。
売却価格とローン残債の比較
査定価格が決まったら、それを現在のローン残債と比較します。この時点で、オーバーローンになるかどうかが明確になります。もしオーバーローンが避けられない場合、前述の対策を検討します。
売却活動
売却価格が決定したら、不動産業者が物件の広告を行い、購入希望者を探します。購入希望者が現れた場合、売買契約を締結します。この際、売買代金の支払いスケジュールや条件なども確認します。
ローン残債の一括返済
売却代金を受け取ったら、まずはローンの一括返済を行います。金融機関からの抵当権抹消手続きが必要となるため、弁護士や司法書士に依頼することが一般的です。
売却完了
すべての手続きが完了したら、家の引き渡しを行い、売却が完了します。
売却時に発生する税金と費用
住宅を売却する際には、さまざまな費用や税金が発生します。以下に代表的なものを挙げます。
譲渡所得税
家を売却して利益が発生した場合、その利益に対して譲渡所得税が課せられます。売却益が一定金額以下の場合、税金が免除されることもありますが、条件や計算方法については専門家に確認することが必要です。
仲介手数料
不動産業者に依頼して家を売却する場合、売却価格に応じた仲介手数料が発生します。この手数料は通常、売却金額の3%＋6万円が目安です。
抵当権抹消費用
住宅ローンを完済した際、抵当権を抹消する手続きが必要です。この手続きには、司法書士や弁護士を介して行うのが一般的で、その費用も発生します。
引っ越し費用
新しい住居に移るための引っ越し費用も忘れずに計上しておく必要があります。引っ越し業者の選定や費用の見積もりも、事前に行っておくと安心です。
まとめ：35年ローン途中での売却は計画的に
35年ローンの途中で家を売却することは可能ですが、ローン残債やオーバーローン、税金や手数料など、多くの要素を考慮しなければなりません。売却を検討する際には、まずは不動産業者に相談し、正確な査定を受けた上で、今後の計画を立てることが重要です。
また、売却後の新しい住居の確保や、ローンの再編成など、必要な手続きをしっかりと理解しておくことが、スムーズな売却プロセスの鍵となります。
