今回は不動産会社に勤務されている女性から、業者側の目線で売却に関わる貴重な体験談を聞くことができました。
いつもとは違い、不動産屋さんから売り主さんがどんなふうに見られているかを紹介してみたいと思います。
私は不動産会社で勤務して14年になる39歳の女性営業マンです
会社の規模は20人位の小規模不動産会社で賃貸と売買両方を取り扱っていますが私の担当は売買になります。
私の経験から好かれる売主さんは私たちを本当に自分のビジネスパートナとして信頼して任せてくれる人です。
売り主さんの多くは不動産屋に売買の仲介を依頼するものの、営業マンをなかなか信頼してくれず、こちらの提案をポジティブにとってくれる人がいないことです。
もちろん信頼はそれなりの時間と、お会いしたり話したりする中で生まれてくるものですが、なかなかこちらの提案を信用してくれず自分の考えを押し通した結果、売買が成立するまでにかなりの時間がかかり、売買金額も売主さんの希望価格よりかなり低い金額になってしまうケースです。
売買が成立すればまだいいのですが、成立しなかった場合はすべて営業マンのせいにされてしまうこともよくあります。
私達営業マンも仲介手数料が手に入って初めて利益になりますので依頼されたからには真剣に一日も早く売主さんの希望価格に近い値段で売却が成立するよう日々努力しています。
私の体験上こんな売り主さんは嫌われてます
- ろくに掃除をせずに放置してしまい希望をして応じてくれない
- 面倒なことは全て不動産屋がやるべきだと考えている人
- 依頼してやってる!という感じで上から目線
- 1度の些細なミスにもすぐに激怒する
- いつまでに売れそうか?としつこい
- 魅力のない物件を高く売るのが不動産屋の仕事だと思っている
ろくに掃除をせずに放置してしまい希望をして応じてくれない
売り主さんの多くは最初に掃除をしてくれますが、これは継続してもらえないと意味がないんです。
引き渡しの日まで掃除を継続してもらえないと、落ち葉がいっぱいの悲壮感が漂った家を見せることなったり、埃や虫の死骸のある家にお客さんをお連れすることになり、お客さんの方から「こんな家は買わないよ!失礼にも程がある」と怒られてしまう恐れがあるんです。
売れるはずの家もこれじゃ売れませんが、それを営業マンのせいにされるとなればもう二度とお客さんを紹介するようなことはしません。
もちろん、こちらから売却依頼を断ることは平社員の営業マンではできないので、そのまま放置して売り主さんの方から他社に切り替えてもらえるように仕向ける傾向があります。
面倒なことは全て不動産屋がやるべきだと考えている人
先ほどの掃除もそうですが、打ち合わせをする際にとにかく自宅に呼びつける方や、修理が必要な箇所を教えてくれずに業者が汗をかいて探すことだと思っている人も多いようです。
でも、私達不動産屋は売り主さんと違ってその家の不具合などはハッキリと目に見える部分以外は分かりません。
仮に、見た目で分かるような不具合であってもできるだけ無駄を省くために事前に細かく教えてくれる方がありがたいです。
不動産屋と売り主さんには上下関係はなく、お互いのために共存できる存在だということを理解して下っている売り主さんと出会えれば、がぜんやる気が沸いてきます。
空き家の場合には、たまにでもいいので空気の入れ替えをしてくれたり、夜間にお客さんを案内できるように電気が使えるようにしてくれるなど、ご自身が「不動産屋さんだったら」という目線から心配りができる方などは本当にありがたいです。
依頼してやってる!という感じで上から目線
ご年配の方に多いですが、我々不動産屋に仕事を与えてやってる!という上から目線の方が実に多いです。
はっきり言って、その人の家が1億円くらいの物件なら我慢はしますが、2千万円ほどの普通の価格帯の不動産なら、やる気はゼロです!
仕事をしてるフリをして放置することもあるくらいです
1度の些細なミスにもすぐに激怒する
契約書のミスなどは許されるものではありませんが、とくに大きな問題にならない伝達事項などを1度抜かっただけでも激しくクレームをつける方がいます。
こんなことは依頼を受ける私達が言える立場じゃありませんが、何も問題になるような事でないものなら1回は多目に見て欲しいものです。
人間誰しも些細なミスの1回くらいはあると思います。
そんな時に「次は気をつけてね!」と優しい一言をかけてくれる人は、たぶん家が早く売れると思います。
反対に「ふざけんな!どうしてくれるんだ!」と言う人の家は、適当な理由をつけて安売りしてサヨナラするか、キレてもらって他社に依頼を替えてくれるまで放置する事もあります。
営業マンは召使いじゃありませんし、売り主さんに媚びへつらう義務もありません。そこを勘違いされると大損をするのは売り主ご自身になっちゃいますのでお気をつけください。
いつまでに売れそうか?としつこい
これが最も多いパータンで、見学に来た人はいた?いつ?何人?売れそう?どんな人?ととにかく面倒な売り主さんです。
そして挙句の果てには「いつ頃までに売れそう?」と聞かれるパターンです。
そんなこと、私達が知りたいくらいです!
そもそもちゃんと見学者がいれば営業マンからお伝えします。
またベテラン営業マンの中には、お客さんに過度の期待をさせてもいけないので価格交渉などに至ったお客さんがいた場合のみお伝えする事もあります。
また、見学者が多いのに交渉に至らない場合にはそうした部分については社内でちゃんと話し合いを行い対処方法も検討し、その結果を売り主さんに報告などもさえてもらいます。
あまりしつこく「売れそう?」と電話をかけてこらえると、営業マンとしては無意味なプレッシャーをかけられるだけでノイローゼ気味になり、会話をするのが嫌な相手になってしまいます。
売り主さんにも不動産屋にも何も良いことがありません。
魅力のない物件を高く売るのが不動産屋の仕事だと思っている
日の当たらない家や風通しが悪い家、あまりに古い家やリフォームが必要な箇所が多いのにボロボロのままで売りに出している家など、魅力に欠ける売り家は沢山あります。
もちろん営業マンはそれを上手に対処しながら売れる相手を探しています。
でも、本来の魅力を全開に引き出すことが私達営業マンの使命であって、魅力以上の価値を出すことは不可能です。
ところが、売り主さんの中には「高く売るのがあんたの仕事だろ!」なんて暴言をはく方も少なからずいらっしゃいます。
そんな事を言われてまでその人の家を売ろうなんて気持ちは当然無くなります。
営業マンの心が折れる瞬間だったりします。
少しでも高くスムーズに物件を売りたいという営業マンの気持ちは売主さんにも負けてません
売買契約が成立するかどうかで私達営業マンの給料は大きく変わるので基本的にはどんな営業マンも真剣に対応しています。
専任契約を結んでくださるような売主さんには特に人一倍頑張って仕事をする傾向もあります。
(そこまで信頼してくれているとう意味なので頑張らない理由がありません)
逆に、私達営業マンから嫌われる売り主さんというのは、私達の提案に一切耳を貸さず、自分の考えを押し通す人です。
そうした人の多くは、結果がうまくいかないと全て営業マンのせいにしがちです。
実はこれ、不動産売買に慣れていらっしゃる売主さんによくみられる傾向です。
また、希望金額がどう見てもても無理だろうというものを絶対に変更せず、長期間にわたってマーケットに物件を置いておられて結局買主さんがまったくつかないというケースもよくあります。
やはりこれもすべて営業マンである私達のせいにされます・・・悲しい限りです。
当然、こんな売り主さんには自社との契約を解除してもらって他の不動産屋さんに行ってもらったほうが嬉しいほどなんです。
ポジティブな売り主さんのためなら面倒な事も苦になりません!
売買の前の書類作成や広告用の資料作成、測量の手配や登記等の確認作業などなど、目には見えない裏方の雑務も膨大にあります。
また、仕事とは言え他人の財産を扱うのでプレッシャーも大きく、売れるかどうかという時は夜も眠れないくらいに心配になるものです。
だからこそ、どういう状況になろうといつもポジティブにとらえ、こちらの提案に応じてくださる人の不動産は自分の事のように無事に売れて欲しいと心から思うものです。
そもそも不動産価格や売買状況は、つねに経済動向や社会の動きに左右されますので、すぐに物件が動く時もあれば春の移動時期をすぎてもなかなか決まらない時もあります。
そういう時にもこちらの提案に耳を傾けてくれて、できるところは努力してくださる売主さんはこちらにすればとても販売がしやすくなるんです。
不動産は人生のなかで一番高額な資産ともいえますが、だからこそプロであえる営業マンにどっしりと任せていただきたいんです。
そうしていただければ私達は全力の上にさらに努力を惜しむことはありません♪
こちらの過去記事も参考にどうぞ
家の売却を不動産屋に頼む際 売り主の身なりや人柄はチェックされてます